派遣の偏見、今日から変えてみない?

派遣の偏見、今日から変えてみない?

「派遣」って聞くと、「社会になじめなかった人」「根無し草」「責任感が無い」なんてマイナスのイメージをもっている人も多いと思うの。派遣ってだけで偏見をもって、「正職員の自分よりは下の存在ね」なんて訳の分からない優越感をもっている正職員の看護師だっている。

けどね、派遣って実は「正職員よりも待遇が良くて、働きやすい働き方」なの。その働き方にいち早く気づいた賢い看護師が、「正職員というしがらみとは別世界で、自分らしく働いている」ともいえるの。

今日はそんな話をしてみたいわ。

正社員の現状を話すわ

正職員をしていると、いろいろ職場に対して不満が出てくるでしょ。私だってそう。私は紆余曲折、いろいろあって今、クリニックで正職員をしている。

最初は「理想の職場に入れたー」なんて思っていたんだけど、有給取ろうと思って院長に相談しようもんなら、「有給なんて許しません。無しに等しい。私は有給なんてない。プロ意識をもちなさい」って。

院長のセリフにツッコミどころ満載。 プロ意識と有給に何の関係があるのか分からないし、雇われている身分にありながら、とにかく有給は取れない。他にも、どんなに頑張っても、年に1回しか昇給が無くて、一律1,000円。20年間そこで頑張って20,000円しか給料が上がらない。

でもクリニックの院長はある意味「王様」。逆らうことなんて許せない。王様の機嫌を伺いながら、命令に従うだけ。

ただ今の職場は人間関係が良いし、患者さんが多くていろんな看護技術が身に付くから、給料のことを除けば、とりあえず毎日が充実してる。

だったら「仕方ないか…」なんて自分をごまかしているけど、本当は、転職する元気と勇気がないだけ。年をとればとるほど、転職する腰が重くなる。「うまく人間関係作れるかな」とか「また新人で働くのは嫌だな」とかね。

それを天秤にかけると、まぁ、まだ転職を考えなくても、生活できているし、待遇の不満も仕事が忙しくて、日頃は忘れているの。

給料日になったら、スタッフみんなで「私たち、なんか割が合わなくない?」って思い出して腹を立てる、けど忙しくて忘れる…この繰り返し。

そんなある日、正職員の看護師の息子が鉄棒から落っこちて、他県の子ども病院に入院することに。2ケ月間は休まないといけなくなって、人手不足って事態に。

派遣看護師Aさん

そこに臨時できた派遣看護師Aさん。2ケ月間ってことで、私たちも最初は「あんまり仲良くなっても、別れが辛くなるから、ちょっと距離を置くことになるかな」なんて暗黙のうちに仕事をしてた。

けどAさん、しゃきしゃきしてて、明るいし、仕事もできる。

私たちは、Aさんのことをいろいろ知りたくなって、Aさんに質問を浴びせかけた。

スタッフ「なんで派遣看護師をしてるの?」

Aさん:「楽しいんですよ。いろいろな職場を見て回れるし。時給も良いし」

スタッフ:「今まで派遣をしてて苦労したことは?」

Aさん:「最初入ったときは、いろいろ覚えることもたくさんで苦労することですかね。でもいろいろな技術が身に付いていってるから、自分こんなこともできるようになってたんだってことがいっぱいあって嬉しいです」

スタッフ:「派遣で嫌な思いをしたことない?」

Aさん:「(さらっと)ありますよー。けど、あんな風に他人に対してやっちゃいけないって反面教師にしてます。家に帰って、毎回笑っています」

スタッフ全員、Aさんの派遣話に食いついた。

スタッフ:「Aさんって、いろいろ苦労してそうなのに強いよね」

Aさん:「派遣して、いろいろ回って強くなったんですよ。最初は私だって正職員だったときは毎日泣いてましたもん

スタッフ:「へー!!

Aさん:「でも泣いてても笑ってても、派遣って時期がきたら違う職場に行けるし、世界はここだけじゃないから、ま、いっかーって」

スタッフ一同:「すごい…すごいぞ、派遣」

確かに、Aさんは仕事を覚えるスピードも速く、大体の看護は行えた。むしろ私たち内科の看護師が知らないことまでやってのけた。

そして、「これはこうしたほうがもっと効率的ではないですか?」なんてアドバイスまでくれた。スタッフが当たり前にやってきたことなんだけど、もっと効率の良い方法があったって気づかされた。仕事量が減った。

そしてAさんは院長のお気に入り。けれど、それを鼻にかけない。

院長をはねのけるAさん

そしてAさんの雇用期間終了2週間前、院長から直々にAさんに常勤のお誘いがかかった。

院長:「Aさん、良かったらウチでずっと働いてほしいんだけど。待遇も良くするし」

Aさん:「お話はありがたいけど、結構です。この派遣期間が終わったら、有給取るんで。有給は雇われ人のエネルギーチャージになりますからねー

院長:「…そ、そう…」

スタッフ心の声(えー!断り方、カッコいい…媚びない!しかも、私たちが抱えてる有給への不満をさらっと言ってくれた。ありがたやー)

私たちスタッフにとって、Aさんははるかに自由な存在だった。自分のポリシーをもって仕事に臨んでいた。プロとして仕事をして、颯爽と去っていった。

「あーAさんがいなくなって残念だな」私たちの心はすっぽりと穴が開いてしまったようだ。

翌日、休んでた看護師が帰ってきた。「私がいなくて困ったんじゃない?」なんていいながら。「何も知らないって、幸せだ」なんて思ったけど、あえてそれは口にすまい。

Aさんは私たちスタッフに新しい風を巻き起こしてくれた。これは正職員だと絶対に巻き起こせない風だった。

派遣看護師の彼女がきてから、私たち正職員の中に変化があった。「自立して自分の力をつけていかないと!」ってみんな思った。 だから「あの人は、派遣看護師だから」なんて言っちゃダメ。

派遣看護師は、正職員のあなたより、よっぽどいろいろな知識があって、技術があって、いろんな場所で経験を積んできているのかもしれない。

もちろん正職員に良いところもいっぱいある。 けど、派遣と正職員に優劣をつけちゃだめ。学べるものは学んで、得られるものは得ていかないと、進歩はない。

どう?派遣の偏見を捨てたら、あなた自身ももっと成長していけるってこと気づいてもらえた?